ジョン・カーニー「once ダブリンの街角で」

昨日は映画の日だったので、新宿と吉祥寺で映画を観に行ったのですが、吉祥寺バウスシアターのレイトショーで見た「once ダブリンの街角で」が大変素晴らしかったです。


んん〜、いい映画じゃないですかぁ〜〜。(80年代の、武田鉄也調で)


これの前に見たのが、「クローバーフィールド HAKAISHA」だったりしたもんで(笑)、この優しく、暖かいストーリーが、大変心に沁みました。


プロのミュージシャンを目指すギター引きの男と、ピアノを愛し、貧しくもつつましく暮らすチェコ移民の女。
それぞれ「愛」についての悩みと未練を持つ二人が、ある日、ダブリンの路上で出会い、お互いに急速に惹かれあいながら、共力して素晴らしい「音楽」を紡ぎあげていく物語。


まずは、やっぱり音楽の映画ということで、楽曲や楽器の使い方が素晴らしい!
BGMやサントラってわけじゃなくて、セリフや感情表現の手段の一つとして音楽を使っているんだよね。
だから、劇中では感情を相手に、そして観客に伝えるため、ずっと歌が流れ、楽器が鳴らされる。
しかも、その曲がどれも凄く良い!


また、この主役の二人の距離感も見ていて凄く心地よくて、何なんでしょうね?
あの「ほぼ恋人なんだけど、決して一線を越えようとはしない」、あの感じ。
互いに惹かれあい、求め合うんだけど、線引きはきちんとしていて、共通の目的である「音楽」を創りあげる以上のことは、男と女の間で結局起きない。
友情? 愛情? それとも音楽への真摯な思い?
どういう気持ちがあれば、男女の間でああいう「いい関係」が築き上げられるんだろうか?
男は最後に、ささやかな幸せを女に送り、映画は終わるんだけど、それが見ていて本当に気持ちが良かった!


たぶん手持ちのハンドカメラで撮っているので、映像は終始手ブレしていて、ローファイな感じなんだけど、それがこの物語を「いい味」に仕上げている。全編に流れる気の効いたユーモアのセンスも最高でした!


バウスシアターでの上映は今夜までみたいですが、明日からは飯田橋ギンレイホールにて、アダム・サンドラー主演の「再会の街で」(この映画も、なかなかの良作!)と一緒に上映があるみたいです。
本当に良い映画なんで、見れる方は是非!