ジョン・セイルズ「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」

ブラザー・フロム・アナザー・プラネット [DVD]

ブラザー・フロム・アナザー・プラネット [DVD]

なんの予備知識もなくDVDをレンタルし、全編に流れる80年代アメリカン・インディーズ・ムーヴィーの空気感を楽しんだ後で、実は監督がジョー・ダンテの傑作狼男映画「ハウリング」の脚本家であることを知り、驚く。
というのも、「ハウリング」の特殊メイクと特効バリバリの映像と、この映画に流れるチープで緩いSF要素が全く似ても似つかないものだったからだ。
一応、見た目がアフリカン・アメリカンそっくりの異星人(何故?)が地球にやってくるというSF映画なのだが、とにかく緩い緩い。そしてその緩さが、観ているうちにユーモアやエモーショナルに直結していく様が楽しい。


「ブラザー〜」は一応SF映画であり、その一方で一応ブラック・ムーヴィーであり、劇中では黒人社会に蔓延るドラッグ・カルチャーへのアンチのメッセージが一応描かれている。
この全編に流れる「一応」感が、本作のなんとも言えない魅力であり、例えばジム・ジャームッシュのオムニバス作品なんかが好きな人には、本作の空気感は大変心地いいんじゃないかな。